陸送マン、今年の陸送振り返りの巻~

query_builder 2022/12/10
ブログ
有限会社嶋屋

こんにちは、嶋屋のYです。
ずいぶんとブログご無沙汰となってしまいました。
まずは、一礼まで。

<m(__)m>
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さて、別に体調崩して陸送のお仕事から

遠ざかっていたとかではありません。


秋以降、日野自動車様の新車出荷事情により

大・中型トラックの新車輸送は減ってしまいまいましたが、
多くのお取引先様のおかげで

弊社嶋屋の精鋭陸送マンたちは、

全国各地へ日夜お車を陸送しまくっております。

私めも、京成自動車整備様の車検車両のバス輸送業務を主軸に
新車トラックの港への輸送、

修理完成した消防車の現地消防局への陸送など
ハンドルから手を離す暇がないほど

お仕事をさせて頂いておりました。

今日このブログを書いているのが12月10日。
ということは、あと3週間足らずで今年も終わってしまうのですね。

月末は年末年始休暇と重なるので、実際はもう2週間少々でしょうか。
そんなこんなで、

今回は個人的に今年の陸送振り返りと題してお送りしたいと思います。

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どんな仕事でも個人的な目標や目指すべき姿を追い求め、

日々取り組んでいますよね。

陸送のお仕事で言えば、

一番は安全輸送、

つまり事故なく商品である車両を目的の場所にお届けすること。

そして次に決められた納期。
船積み港などは場所によって
当日予約の輸送車両が届かずに出航が遅れ、
多額の遅延賠償が求められることがあると聞いたことがあります。


道路事情は中々読みづらいこともあり、
常に時間的ゆとりをもった

輸送計画を立てることが重要です。

そして、最後は

そんな仕事である陸送をしている

自分を受け入れてあげられるかということ。


要はハンドルを握りながら愉しめているか。

私の中では今年も、上記3点に於いて
自己採点すると90点くらいは取れたかな

という気がするのですが...

社長どうでしょうか...(*'ω'*)

強いて言えば先月、輸送中の車両トラブルで
当日に目的地まで辿り着けなかったのが
ここ最近のネガティブ事案です。

いい機会なので、
このブログをお読み下さっている

陸送関係者の方々との情報共有も兼ね
その時体験した車両トラブルの一部始終を

画像は諸般の事情からお見せ出来ませんが
一筆一打魂を込めて文字起こしして

ここにお伝えしたいと思いますので
どうかお付き合い下さい。

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それでは、時計の針を1ヶ月程巻き戻してみましょう。


あれは11月の9日、これぞ秋晴れといってもいいほどの朝でした。

早朝6時、東京都八王子市に本拠を構える

消防車メーカー「日本機械工業」様より
一台の可搬型送水ポンプ車両を引き取りました。


いすゞの大型トラック

「GIGA」をベースとした6×2の車両です。

この大型ポンプ車は「可搬型」と名乗るように、

トラックの荷台にあたる部分に水中ポンプと送水ポンプ、

そして水を送る長尺なホースを格納しています。

この車両の特徴は一般のアルミバンの箱車と比べると、

一目でホイールベースが短尺で後後軸より後ろ側、

つまり後ろオーバーハングがとても長く、

ちょっと運転に気を遣う車ということです。

今回は中部電力浜岡原発で運用されている車両でしたが、
以前にも何度か同様の車を陸送したことがあったので
やたらローギヤなミッションや、

いかにも後ろに積んでます的な重さを感じさせる走行フィールも
自分的には折り込み済みで、


いつも通り出庫時のオーバーハングに気を付けながら
中央道八王子インターを目指して出発しました。

朝の6時過ぎとはいえ、周囲は都営アパートなども多く、

出勤するマイカーもぼちぼち数を増やしておりました。


八王子インターまでは所要3km程度の道のりですが、

狭い八王子環状線から都道166号に左折する際は、
隣りの右折レーンの乗用車が

私の運転する真っ赤なポンプ車などお構いなどせず

びっちり横付けしてくるので


オーバーハングでリヤ後方の接触を避ける為、
出来る限りハンドル舵角を緩やかに左折するなど、
この車特有の運転を強いられながらの走行でした。

前述したように、一般的な箱車とは違ってギヤ比が低いせいか、
というより、乗った感じでは2速は専用のローギヤ設計で

3速はノーマルギヤ比のような感じなのです。


ですから、セカンドギヤから、サードに上げると

ギヤ比のつながりが悪くて車速がうまく乗ってくれず、

ちと失速気味に鈍く加速していきます。

そんなこんなで、無事インターに到着し

一路東名高速を目指し陸送しました。


ちょっと余談になりますが、

このポンプ車両は限られた敷地、今回は浜岡原子力発電所、
での消防作業にあたるのが目的ですので、

当然のようにその走行距離は旧型GIGAをベースとしながらも
まだ1万キロにも満たない中古車的に言うと、「上物」でした。

きっとこいつは生産工場でラインオフしてから此の方、

車検や点検整備などの回送を除くと
その殆どを施設内の車庫で、

ただひたすらにその出番を待ち続けるか、

日常の訓練などで敷地内を
所狭しと移動するだけで

いままでの人生(車生?)を生きてきたのだろうか、

そんな気持ちが湧いてきて


なぜだかその時私の頭には、

昭和51年の大ヒット曲「およげ!たいやきくん」の歌詞が

脳裏をかすめました。

毎日毎日鉄板の上で焼かれ、いやになっちゃった「たいやき」が、

あるとき店のおじさんとけんかして
大海原へ泳いでいく...

幼かった私が最初に買ってもらったレコードでもあり

特別な思いがあることを差し引いても


そんなたいやきと、

巨体を持て余した真っ赤なそのポンプ車が重なって見えたのです。

まあ、余談です...

さて、今回の陸送の行程は、早朝に八王子を出発し、
午後2時、静岡県御前崎市の浜岡原発で

担当者様に車両を引き渡して任務完了の予定でした。

行程にはゆとりもあり、

中央道を時速70km/h程度で安全走行、

その後八王子JCで圏央道へ入り
海老名JCで東名高速へと...まったく順調でした。

以前にも同様のポンプ車を浜岡原発まで陸送したことがあったので
東名に入ったころには、時間の目途も立ち、

「牧野原サービスエリアでひと休憩しても十分間に合うな」

そんな心の余裕すら持っていました、

その現象が現れる前までは....

ご存じの方も多いと思いますが、
東名高速は大井松田IC辺りから

御殿場ICにかけて急勾配が続く
トラック泣かせの難所です。


フル積載状態のセミトレーラーなどは
最低速度以下になって必死に勾配を上っていく姿も珍しくありません。

いくら重量級といっても

水を満載しているわけじゃないのだし、

走行車線を速度を抑えて、登坂車線がある区間は

大人しく登坂車線を走れば何ら問題ないだろうと考えていました。

さあ、これから先暫くは勾配のきつい区間になるぞ!


そう気持ちを引き締め直した頃です、
場所でいうと、秦野中井ICを過ぎた頃でしょうか、


アクセルを踏み込んでいるのに車速が付いてきません。
スピードメーターの針が70kmから

少しずつ69、68、67、65...と

徐々に速度が落ちていきます。

もちろん勾配に見合ったシフトチェンジは必要でしょう。
ギアを一段落とし込んで再度アクセルON!


けれど、
腰下の「GIGA」のエンジンは一向に吠えてくれません。

おいおい~どうしちまったんだあ~

おかしいなあ~、ギアを入れ間違っているのかな


そう思い、気持ちを落ち着かせて

いったんギアをニュートラルに戻し、
シフトパターンの表示通り5速へ落とす。

通常であれば、クラッチミートした瞬間、

エンジンはグォーンと急激に唸りをあげ、

力強い加速をしていくはず。


けれど、私のイメージとは裏腹に

メーターパネルのタコメーターは一向に勢いを戻してくれない。


そうこうしているうち、

メータパネルにエンジン制御異常の

通称「エンジンマーク」の警告灯もオレンジ色に
点灯してしまいました。

陸送中のいすゞGIGAポンプ車両が
アクセルを開けてもエンジン回転が上がらない

という状態に陥ったのでした!

もちろんこのまま陸送を続けることは出来ない。
とにかくこういった際に大事なことは、

安全な場所に車を停車させること。

ここは100km/h近くの車たちが往来する高速道路上である。
どうしても不可避な場合を除く以外、

本来車が停止してはならない場所だ!

幸運にも目の前に中井PAの看板が!
車両を駐車スペースに停め、降車し車外に出ました。

もちろん見たところで私には専門知識もないし、

分かりはしないのですが
とにかくタイヤの隙間からエンジンを覗き込み、


異常はないか、変な異臭はしないか、そんなことを確認しつつ
すぐに社長の携帯へ連絡しました。

連絡しながら私の中で、

トラブルのある一つの原因が頭を横切りました。


まさか、クラッチが滑っているのでは...

エンジン回転数は1500rpm程度に上昇するのに、

まったくそれに見合った駆動力が発生してこない
これってクラッチが滑って駆動力が

しっかりタイヤに伝わっていないからじゃないの?

トラックのクラッチ滑りは聞いたことがあるが、

実際自分で経験したことはない。


確か遠い過去に一度、

当時乗っていたホンダシティという乗用車で

クラッチ滑りを経験したことがあったのを思い出していた。


アクセルを開けてもエンジンの回転数だけ無為にあがり、

車速がまったく乗らないあれだ。

しかし、乗用車とこの大型車ではまったく症状も違って思え、

なんだかもう訳が分からなくなってきた。

そうこうしていると社長とも連絡が繋がり、

まずはエンジンを切ってしばらくした後、
もう一度エンジンを懸けてどうだかを試すことにした。

エンジン停止後10分、

再度キーを捻ると、

グぉ~ンとGIGAのエンジンは目を覚まし、
懸念されたオレンジ色のエンジン警告灯も

点灯することなく普通に思えた。

社長:いったんこれでアクセルを踏んでみてどうですか?

私:ふつうにアクセルを踏むと、エンジンは吹けます!

社長:それじゃ、注意しながら走行してみて下さい。

   この先さらに勾配がきつい区間になるので

   再度さっきと同じような症状が出たら

   できる限りパーキングまで走って止めて下さい。

私:分かりました、やってみます!

そうして、

私は恐る恐るこの陸送車両のパーキングブレーキをプシューと戻し、
中井パーキングから本線へと合流していったのであった。

頼む!


さっきは偶然何かの拍子で不調になっただけで
このままお前の力強い走りを見せてくれ~!

そんな愚かな私の願いは虚しく、
本線に合流し70km/h程度車速が出て、

段々と急勾配な区間に入ってくると
先ほどと同じようにアクセルを踏み抜いても
到底この車両を前に押し出すだけの力は出て来ないのだった...

スピードメーターの針はついに50km/hを割り、

40km/h台に....


その頃にはもう、私の運転する車両の後ろには
乗用車から大型トラックまで数珠つなぎの大渋滞となっていました。

もうこれは回送どころではなく、

高速道路上の大事故に繋がりかねない状況です。


私はハザードランプを点滅させながら、

出来る限り本線道路上の緊急停車を避けるべく
もしもの時にと想定していた次の鮎沢パーキングまで
平常心を忘れないよう、でも必死の形相は隠しきれずに
どうにかこうにかパーキングまでたどり着き、

そこでエンジンを切りました。

それまでの時間のなんと長く感じたことか!

すぐ社長にも連絡を入れ再度現象が出たことを報告し、

「社長、
もうこれ以上この状態で

この先この車を陸送する自信は私にはありません!」

そう言ったことを覚えています。

あれから1ヶ月以上経ち、

こうしてあの時の状況を振り返ってみると
陸送ドライバーとしては

ずいぶんと情けない言葉を発したものだと思う一方、

自分の知識や技量と向き合い、
安全輸送の公式が成り立たないと判断した態度は

一つの正解だったと思っています。


乗用車にしてもトラックしても、

安全運転から大事故に繋がるまではほんとに一瞬です。

自分が出来ることと、

出来ないことの境目をしっかり見極めて、


時には「自信がありません」と、

そんな情けない自分も受け入れていくスタンスも
安全な陸送を遂行していく為には必要だなあと、

この時の出来事から学びました。

さて、結局私のこの日の陸送はここで終了です。


関係各所の連絡に追われながら、夕方近くまで現場で待機し、
最後は御殿場のサトーレッカーさんに

沼津のいすゞ営業所までドナドナされていきました。

レッカーに際し、先行でいらっしゃた作業員の方が

GIGAのエンジン下に潜り込んで
クラッチの覗き窓の蓋を開けてからこう言いました

クラッチ滑りではなさそうですね、

クラッチが滑っているとこの蓋開けると

ボロボロとカスが出てくるのに
まったくそういった形跡はありません。

クラッチも正常です。


はっきりしたことは言えませんが、整備記録からみると
多分燃料フィルターの交換履歴がないので
フィルター詰まりでパワーが出なかったんじゃないでしょうか。

何がクラッチ滑りかもだ~

まったく自分の予想なんて当たらないな!

そうだ、来年はもう少しメカの事を勉強しよう。
皆さんの来年の目標は何ですか?

ということで少し早いですが、

今回が本年最後のブログ更新となります。


一年間お読み下さり、

誠にありがとうございました。

来年も、整備もOKな陸送マンを目指して
業界と会社の発展の為に

時間と文字を捧げることを誓いま~す!

皆さま、よいお年を!(^^)/

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