陸送中、もう絶対アナタを離さない~(何だそりゃ~!)
こんにちは、嶋屋のYです。
最近、気温が一気に夏となったり、
そうかと思えば
肌冷えするような一日だったりで、
陸送中に着る服選びも大変です。
陸送中は車内ですので、
空調の温度設定や窓を開けたりして
快適温度を作り出せるのですが、
朝一番の引き取りや納車後の移動などは
電車やバス、徒歩が主体ですので、
薄手の上着など手放すことができません。
今日は神奈川県相模原で最高気温26℃の予報がでており、
朝も20℃近いので上着も持たずに快適です。
私は地場の陸送が多くあまり地方へは陸送に出かけませんが
多くの陸送ドライバーは東北~北陸~近畿~中国~九州....と
日本列島を文字通り駆け巡っており、
春のこの季節、
特に山の木々の緑の移ろいが鮮やかで
そんな風景に身を委ねることができるのも、
この仕事の醍醐味です。
しかしそう言った傍から何ですが、
当の本人は最近自宅から千葉方面への往復が多く
バス回送事業の特任を受けている身の為、
季節の移ろいに身を委ねて....
な~んていう時間はあまり取れていないのが現状です。
それはさておき、
つい先日俗にいう「ヒヤリハット」を体験したので
まずはそのお話から....
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いつものように、
バス回送をする為、整備工場から出発する時のことです。
乗車前にこれから自分が回送する車の周囲を一回りしました。
言うまでもなく
これは出発前の「一回り点検」と呼び、
陸送業務に携わる者にはお馴染みの行為です。
停車中のバスには必ずといっていいほど
左前輪に輪止めがされていますので
いつものように設置してあった輪止めを外しました。
通常であれば輪止めは車輪を挟むような形で
前後セットになって装着されています。
しかし、その時は車輪の前側にしか輪止めが見当たらなかったので
整備担当者が忘れてしまったのかなと思い気にとめませんでした。
というのも、
あるバス営業所によっては
輪止めは車輪の片方しか使わないというところが
実際に私の知る限りでもあったので、
その時も深くは考えないで
今回は片側だけなんだと思ったのです。
そして前側にかけられた輪止めを回収し車内へ収め、
周囲の安全を確認してから最徐行で発進、
数メートル走ってバスの後部が右に振れかけたその時です!
左のサイドミラーの下方に
何やら小さなオレンジ色の物体が映りました。
「えっ!なんだアレ?」
私はすぐさまギヤをニュートラルに戻し、
駐車ブレーキを確実にかけたことを確認すると
「ぷしゅ~」っと
前折戸を開けてバスの後方を確認に行きました。
すると
先ほど外したものと同一のオレンジ色をした輪止めが
ポツンっと一つ路面に取り残されていたのです。
そう、
その輪止めは私が外し忘れていたもう片方の輪止め、
車輪後ろ側にかけられていたものだったのです。
車輪前側の輪止めの外し忘れであれば、
もちろん車輪が輪止めに引っかかって
車両が発進できませんので赤面しながら外すところですが、
今回は車輪の前側の輪止めは外してあったので
普通に発進出来てしまったのです。
けれど確かに車両の一回り点検時、
輪止めは前側にしかなかったはず....
でも実際は輪止めはしっかり
前と後ろに一個ずつされていたようです。
※輪止め装着イメージ(実際の画像ではありません)
後ろ側の輪止めは画像のように
タイヤ側面ツラにきれいに並ぶように固定されていたわけではありません。
(この状態であればもちろん気がつきます)
おそらくタイヤの奥の方(黒矢印)に入り込み、
身長175cmの私がただ視線を下に向けて確認しただけでは
視界に入ってこない場所にあったのだと推測されます。
バス特有の特性として、トラックと違って
車体側面がタイヤの下の方まで覆っているので、
車体の至近距離、且つ身を屈めず立った状態だと
タイヤ周辺や車体下方の見落としが起きやすい
ということが、今回身をもって体感しました。
今回はたった一つの輪止めでしたが、
もし、タイヤ周辺に危険な物体があったと
知らずに発進していたら...
もし、車体下部に何らかの理由で
潜り込んで作業をしている人がいたとしたら...
私たち千代田グループの乗務員は入社時研修で
出発前にはホーンを鳴らしエンジンをかけ、
発進前も同じくホーンを鳴らしてから車両を発進させるという
商品車乗車時のルールを徹底するよう教わります。
もちろんこれは、
「これからエンジンかけるよ~」
「この車は発車するよ~」
と周囲に知らせるためですが
そこには
かつて整備の方が車体下に潜って作業中、
そうとは知らずにドライバーが車を動かし、
重大災害につながったという過去の教訓があるのです。
今回も輪止めが1個しかなかった時点で、
「あれっ、1個しか使ってないのか~」
ではなく、
何で1個しかないんだ?
もう1個はどこ?
蹴っ飛ばされて外れた?
それとも下か?...
そうして身を屈め車体の下隅々まで確認するべきでした。
そうすればタイヤの奥の方にズレた輪止めも発見できた筈です。
陸送中の事故で一番多いのは、
車を発進させる時と、
最後の納車時です。
ルールは、それを守ることはもちろん重要ですが、
それ以上に大切なのは
いつもと違う感じとか、違う状態を認知した時点で、
頭の中に
「んッ?何だっ~」と
クエスチョンマーク(?)?・?・?・?....を何十個も巡らし
そのまま放置しないということでしょう。
お恥ずかしい失態ですが、
ここに晒して
己の戒めとしたいと思います。
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さて、私事ですが、つい先日運転免許証の更新に行ってきました。
16才で原付バイクの免許証交付を受け、
かれこれ運転免許歴も三十数年近くになります。
それだけ永く道路交通に身を置いていると、
良くも悪くも、運転の「クセ」がついてしまいます。
しかし、自分の体臭が自分では分からないように、
自分の運転のクセって中々自分では分かりません。
最近、
「あっ!、これって自分の運転のクセなんだ~」
そう感じる場面があったのでお話致します。
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ところで、皆さんは坂道発進は得意ですか?
そもそも現在の乗用車はオートマ車が殆どで、
坂道発進という言葉自体もう死語かもしれません。
さらに、
商用車だってESやHSAなど坂道補助装置が標準装備されていて
坂道発進など、教習所の一時期少しかじる程度で
実際の道路交通場面で使うことはないのかもしれません。
けれど少し古い型のバスは
このような補助装置がついていないことが多く、
勾配のきつい坂道での停車、
そして再発進は車体が後ずさりしないか結構気をつかいます。
私はどちらかというと、
駐車ブレーキを使った坂道発進は苦手、
というか下手くそで
渋滞時には出来る限り坂道では
停車したくないな~
と、ちょこちょこクラッチ操作をしながら運転するのですが、
どうしても止む無しという場合もあります。
そこで実際、プロのバス運転士さんたちは
どんな坂道発進をしているのだろうかと気になり調べてみました。
すると意外にも、ほとんどのバス運転士の方は
駐車ブレーキを使ったいわゆる
「坂道発進」などやっていない
ことに気がつきました。
たまに路線バスなど、
ガクッと後ろに下ってビックリすることがありますが
ほとんどが車体側の安全装置に頼ることなく、
職人技?の
人間EZGO(イージー・ゴー)
※三菱ふそうトラック・バスの坂道発進補助装置の名称
をやっていることを発見したのです。
なんてことはありません、
踏んだクラッチをゆっくりつなげながら、
クラッチ板の振動がググッ~と左足に伝わった状態で
ブレーキペダルに掛けた右足を素早く離し、
アクセルペダルをゆっくり踏んでいく。
ただそれだけで、
殆どの坂道で車は後ろへ下がることなく前へ進んでくれます。
私はバイクから乗り物の世界に入ったので
アクセルを開けながら半クラッチで発進するという
運転操作のクセがありました。
特に、最初に乗ったのが
ヤマハRZ50という2ストロークの原付バイクで
2ストかつ、小排気量ということもあり下のトルクが全くなく、
エンジンを7000回転くらいに上げながら、
クラッチをつなげないと
道路の流れに乗っていけないような乗り物でした。
もちろんその後排気量の大きなバイクや乗用車を乗るにしたがい、
下からトルクがあるので
そんな狂気の沙汰のようなクラッチワークは必要なくなり、
低回転で、コッツとクラッチをつなぐような運転へと変わりました。
けれど「三つ子の魂百までも」というじゃないですか、
決定的なクセとして、
「アクセルを開けてからクラッチをつなぐ」
というペダル操作のプロセスが身についていたのです。
(まあ、考えようによってはこれが普通かもですが...)
当然停車中の車の場合アクセルを開けるためには、
踏んでいた右足をブレーキペダルから離さなければなりません。
乗用車だったら、坂道で落ちる速度もそんなに速いものではないので
素早くクラッチをつなげれば、坂道で下がることもほとんどないでしょう。
しかし、後方に重いエンジンを積んだバスは、
勾配によってはブレーキペダルを足から離した途端
ガクンッと数十センチ下がってしまうこともしばしばです。
もちろん大型貨物トラックもそうでしょう。
幸い、大型自動車のディーゼルエンジンは低速の粘りがあるので、
クラッチをゆ~っくりつないで、
だいたいアイドリング時の450回転が
400回転くらいに落ち込んだ時
今だっ~!と、
ブレーキペダルから右足を離して
ゆっくりアクセルペダルを煽ってあげると
な~んてことはない、
人間坂道発進の完成です。
表題のタイトルは
この時の私の魂の叫びなのです!
タイミングを見定めることに神経を集中し、
右足を強くブレーキペダルに押し付けながら
(この右足は)もう絶対にアナタ(ブレーキペダル)を離さない、
離してたまるものか....」
半ばそんな気持ちでやっていましたが
だんだん慣れてくると身体が覚え、自然に出来るようになりました。
まさか何十年も車に乗ってきて、
この歳で自分の運転のクセに気づかされるとは
本当に驚きです。
カナダの精神科医ティルマンは
「人は生きるように運転する」
(A man drives as he lives.)
と言いましたが
正しく、
人はどんな運転経歴を辿ってきたかで
運転の仕方も変わってきます。
良い・悪いではなく、己の運転のクセを知るという事は
事故を起こさない運転にも結び付いてきますので
たまには他人の運転をじっくり観察し、
自分との違いを見つめることも
職業ドライバーとしては大切なことかもしれません。
いくつになっても、自分より上手な人を真似、
安心して陸送を任せてもらえる
陸送ドライバーになるのが私の目標です。
世界情勢やら、色々と取り巻く環境は厳しいですが
陸送業界からも出来ることをぜひやっていきたいですね。
今回も最後までお付き合い下さり、
感謝・感謝です~(^-^)
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