陸送屋が、古(いにしえ)から続く自動車部品を見て考えたこと...
こんにちは、嶋屋のYです。
月日の経つのは早いもので、もう今年も残すところ1ヶ月を切りましたね。
個人的にも、月曜の朝一で仮ナンバー(回送運行許可番号標)を取り付けて
陸送を始めて、あっという間にもう金曜日!?
そんな感じの一週間でした。
実際の陸送業務では、先週都内をトラック陸送中
ちょっと新鮮な発見があり、そこから感じたことや個人的な提案?など、
今回はそんなお話をさせて頂きたいと思います。
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さて、このブログをお読み下さっている方は、
おそらく陸送関係者の方や或いはトラック周辺を
生業にされている方が多いと思います。
最近は乗用車だけでなく、トラックを含めた商用車にも色々な機能や
技術が取り入れられ、何十年も前にトラックに乗っていたという
ドライバーさんであれば、最近のトラックに実に多くのセンサーが
付いていたり自動装置が装備されていることに
きっと驚かれることでしょう。
確かに現在のトラックにはドライバーを支援する為の
モニタリングセンサーや、
安全運転を支援する為の各種センサーやカメラがそこかしこに搭載され
何十年と言わずとも、10年位前のトラックと比べても
ずいぶんとハイテク化が進んでいますよね。
しかし、しかしですよ、
私はつい先日気づいてしまったのです!
この21世紀も間もなく四半世紀が経とうかとしているこの現在、
昭和から平成、令和と時の元号が2回も変化してきた中にあって
まるでイモ洗い猿で有名な幸島の子ザルや雌ザルが
今まで食べていたイモを海水で洗って食べている様子を見ながら
「オレは絶対そんなことヤラネーよ~」
と頑なまでに行動を変えようとしない雄ザルのような
(参考までに、本家の雄ザルたちは、
その後おっかなびっくり海水にイモを浸し旨く味わっています...余談)
変化とは無縁に生きてきたトラックパーツが、
この令和の世のトラックにあったのです!
一体何だかお分かりになりますか?
答えは次のエピソードで明らかに致します。
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11月某日の午後、
私はいつものように架装メーカーから引き取ったトラックを
船積港である有明埠頭に向け日野自動車の
小型トラックデュトロのハンドルを握っていました。
首都高4号線から西新宿ジャンクションを経由し、三宅坂JCTから
都心環状に入り、谷町JCTと順調に陸送していた時です。
左車線を走行中、いつものように右ミラーで後続車を確認していると
一台の車がなぜか私の目にとまりました。
その車は特に派手な色をしたイタリア系高級輸入車とか、
外観に特徴のあるアメリカ車というわけでもなく、
最初はなぜ目にとまったのかさえ自分自身で理解ができませんでした。
右ミラーに映し出されるその車の姿が段々と大きくなり、
断続的に渋滞している中で、その車は私の運転するデュトロの右側方へと
近づいてきます。
陸送ドライバーに限らず、車を運転している最中に
ある特定の物や場所に視線を注視させるということは
周囲の交通状況の情報収集という観点から、
決して褒められた行動ではありません。
むしろプロドライバーとしては、ん~どうなんだろうですよね。
でもどうにも気になり、今まさに自分の運転する車を追い越そうとしている
その車をちらちらと横目で観察してしまいました。
その車は、サンライトグリーンマイカメタリックという
珍しいオリーヴ色の車体色をまとった
トヨタの高級車レクサス「LEXUS ES」でした。
オレは一体こいつの何に一瞬の出来事とはゆえ
不覚にも視線を奪われてしまったのか....
レクサス、確かに庶民から見たら
そのボディラインや煌めく灯火類の造形など、
なるほどやっぱり金掛かっているよね、と頷けるものはあります。
けれど地方の田舎で見る「オラがレクサス」ならまだしも
都内にはこの手の高級車は腐るほど走っています。
じゃあ、まるで自衛隊幹部が乗車する先導車の如き
怪しげなオリーブの輝きを放つこの珍しいカラーに目を奪われたのか....
じつはそうではありません。
本来乗用車には付いているものが、
そこに付いていないというその事実に
私の視覚神経は集中してしまったのです。
ハァ~不覚です、まったく...
それは、一見どこにでもある普通の高級セダンですが、
唯一どこにでもあるセダンと違っていたのが
ドアミラーが付いていないセダンだったという事実です!
無論、ドアミラーが折りたたまれていたとかそんな事じゃありません。
正確に表現すると、そこにはドアミラーが皆無というのではなく
何やらニョキっとその個性的な車体カラーと同色の棒状の物体が突き出ているという感じでした。
百聞は一見にしかず、こんな感じのものです。
これ、正式には「デジタルアウターミラー」といって
通常のドアミラーの位置にカメラが埋め込まれ、
外側にはウィンカーの役割をするLEDが内蔵された
量産車としては世界初のデジタルミラーだったのです。
このニュース、確か当時何かで見聞きした記憶はありますが、
実際走っている本物を見ると、やっぱりとてつもなく違和感がありました。
だからこそ私の視覚センサーには強烈なシグナルで反応したのです。
もうお分かりだと思いますが、
サイドミラーは鏡の反射を利用し直接見えない部分(死角)を
確認するという考え方で、自動車に初めて後車鏡(バックミラー)が
採用されて以来変わっていないパーツなのです。
しかし、この「デジタルアウターミラー」を実際に見てからというもの
トラックのミラーがやたら気になってしょうがなくなりました。
興味は運転するデュトロのみならず、
すれ違う数多のトラックのミラーたちへ....
普段いつも陸送するトラックですが、
車種やサイズによってばらつきはあるものの
右に左にあちこちミラーが付いています。
日野自動車の代表的な大型バン「プロフィア」を例に取るとその数は5個。
まず分かり易いのが、
左右側面後方を確認する「サイドミラー」が右左に1個ずつ。
そして、その下に付いているのが「サイドアンダーミラー」と言って、
運転席・助手席すぐ側面下方を確認するためのもの。
それも左右に1個ずつ。
最後に左前方に付いているのが車体のすぐ前を確認するための
「アンダーミラー」です。
それだけの数のミラーがついているという事は、
それだけ運転席から見えづらい死角がトラックにはあるということです。
そしてこのミラーの中でも「右サイドアンダーミラー」は
各トラックメーカーで考え方の違いがあり、
日野自動車だけは実質標準装備といっていいほど
どのトラックにも装備されています。
その他のいすゞ・ふそう・UDといったメーカーは、
大型・中型問わず付いていないものが多いのです。
日野のトラックは右サイドの下が見づらいから?
いやいや、そんなことはないでしょう。
実際陸送では、いすゞ「GIGA」や、三菱ふそう「Super Great」、
UD「Quon」と各社の代表的なトラックを乗ったことがありますが
「GIGA」や「Super Great」は死角が少ないとかそんなことはなく、
運転席に座った状態での右ドア下方の死角はそんなに変わりません。
だとすると、これら装備の有無の違いは
メーカーの右サイドアンダーミラーの装備必然性や
その死角に対する考え方の違いといってもいいのではないでしょうか。
私は普段圧倒的に日野のトラックを陸送することが多いので、
右サイドアンダーミラーはそこにあって当たり前の感覚に
なってしまっているのですが、
たまに、「いすゞ」や「三菱ふそう」に乗ると、
右サイドアンダーミラーがないことにとても不安になってしまいます。
実際のところ、左側なら当然窓を開放して目視ということは出来ませんが、
右側面に関してはドアガラスを下げそこから頭を出して確認すれば、
絶対的な死角とはなりません。
けれど全てのドライバーがそうするかと言えば、答えはNoでしょう。
個人的な意見として、右サイドアンダーミラー設置で
少しでもトラックの死角が少なくなるのであれば、
ドライバーの心理的な負担軽減も含め、
私は設置賛成派です。
もちろんその反面、右サイドアンダーミラーを設置することで、
右折時など右前方に一定量の死角を逆に作ってしまい
歩行者がちょうどミラーの向こう側に入り見えなかった...
なんてこともあるかも知れません。
確かにGIGAなど右アンダーミラーの付いていない大型トラックに乗ると、
右前方下がやたらスカスカに見通せる感じがします。
これは右アンダーミラー装着の功罪ですが、同じような装備であっても
その有無によってメーカー間の考え方の違いが出ていて
大変興味深いですね。
そこで、話は先の「デジタルアウターミラー」に戻りますが、
もし、もしですよ、
トラックに5つ付いている補助ミラーの全てがこの
「デジタルアウターミラー」のように
要はカメラとモニターによって構成されるようになれば
一体どんな感じになるのだろう....( ˘ω˘ )
想像は膨らみます...ワクワク( ˘ω˘ )
陸送中は常に安全な輸送経路の選定に努め、
出来る限り幅員のある道路を選びますが
どうしても大型トラックはミラーの張り出し幅が大きいため、
狭い箇所での大型車同士のすれ違いなどは
特に気を遣い、私も運転下手なので手に汗握りながら
やり過ごすことが多々あります。
しかし、トラックの左右キャブの目立たない箇所に
高精細カメラを埋め込み、それらの画像は室内側左右ピラーに
各々装備された10インチモニターに映し出されるとしたら...
これ、けっこう良くありませんか?
レクサスの「デジタルアウターミラー」も画角調整できるようですし、
速度に応じた見え方や、周りの交通量に応じて画角が変わる。
もちろん雨でミラーに水滴がついて見えづらいとか、
窓ガラスが曇って見えづらいとか
何よりあのミラーの張り出しから解放されるだけでも、
大型トラックに乗るドライバーなら
👉おっ、それいいね!
と共感できる部分が多いのではないでしょうか。
そういえば、標準装備かどうかは分かりませんが、
ボルボ社のトラックは左前方を映すモニターが運転席の
左ピラー辺りに装備されている車を陸送したことがあります。
確かに慣れない場所にモニターがあって、
陸送の最中にそのモニターを活用して運転したかといえば
ほとんど見ていなかった気もしますが...
現在はスマホに昔では考えられなかったような
高性能カメラが付いている時代です。
そのスマホの液晶部分とカメラ部分が分離されたようなイメージで
「トラック用全方位モニタリングシステム」みたいな
古の鏡面ミラーに置き換わるシステムがあれば
理論的には死角ゼロトラックが実現します。
いやーかっちょいいな~「死角ゼロトラック」
だからといって左折時の巻き込みや、
その他の死角に起因する事故がなくなるわけではないでしょうが
コスト問題は一先ず棚に上げ、ぜひそんなトラックを
”右アンダーミラーに拘る”
日野自動車さんに作って頂きたいですね!
ちなみに、デジタルミラーのメリットはその他にも
夜間見えづらい場所で、赤外線センサーと連動させて
人間などの熱線を持った物体を強調したり、
カメラのAI画像分析をリアルタイムで処理することで、
向こう数秒先の危険となりそうな物体を強調させたり...
色々と夢が広がります。
今回のように、当たり前だと思っているミラーの装備に対する考え方が
実はメーカーで違っていたりするのが分かるのも、
短期間で色々な車を陸送するこの仕事の特権(特徴?)です。
メーカーが思い描く物流を担うトラックの最終終着点は、
完全自動運転のAI無人トラックだと思いますが、
それまでにはまだ相当な時間がかかることでしょうし、
こんなのどうでしょうか、日野さん!
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