陸送ドライバー、避けるリスクと取るリスク!?
こんにちは、嶋屋のYです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
先月から開催されていた東京2020オリンピック大会全日程が終了し、
あの首都高料金上乗せ政策もやっと終わりましたね。
橋本聖子オリンピック組織委員会会長は総括会見で
「オリ・パラの成否は歴史が証明してくれると思っている」
そう見解を示されました。
オリンピック東京大会という近年日本がずっと目指していた
『祭りごと』が今終焉し、これからは日本のおかれた現実に
私たちは対峙しなければならないのです。
今真っ先に日本が向き合うものといったら、もちろんコロナ対策でしょう。
と、いうわけでつい先週、
私も2回目のコロナワクチン接種を受けてきました。
思えば、昨年の春以降コロナ感染が市中を賑わせ始めたころ、
真っ先に私たち「陸送ドライバー」が、感染者のブラックリストに載るのではないかと案じたものです。
というのも、仕事とはいえ県を普通にまたぎ、
車の納車を終えると今度は帰りの通勤ラッシュ...
バスでの移動や、多岐に渡る取引先への出入りも多い。
しかしフタを開けてみると、意外なことにこの陸送屋さんで
コロナ感染したという話はあまり聞きません。
それよりも逆に、私たちが取引先として納車している架装メーカーさんや
本家の自動車メーカーさんでの感染報告が相次いでありました。
感染が本格化してくると、
ある納車先では今まで行っていた納車時検収が行われなくなり、
その代わり、用意されたアルコールとティシュで
運転時に触れた全ての場所(ウィンカー・シフトレバー・
エアコンスイッチ・ドアノブ・窓スイッチ等)を
アルコール消毒して下さいと納車方法の変化がありました。
当初は
オレたちはバイ菌(コロナ感染者)扱いかー!
と、少々戸惑ったものの、架装メーカーさんの検収員の方にとって
前述した通り、日頃様々な場所に出入りする私たち陸送ドライバーは
感染リスクが高い人たち(高感染リスクグループ)と
認識されていても間違いではないのかもしれません。
そして、そんな陸送ドライバーが乗ってきたトラックは
ひょっとしたら感染車両として自社の従業員のウイルス感染源に
なってしまうかもしれない。
そう考えればアルコールでの除菌作業止む無しとも思えてしまいます。
でもひょっとしたら当の検収員さんたち本人が
一番ドキドキと怖い思いをされているのかもしれませんね。
だってあの狭いキャブの中、
もしコロナに感染したドライバーが咳き込みながら
陸送してきたと想像したら...
車内には無数のウイルスが浮遊しており
ドアを開けた瞬間、自分も大量のウイルスシャワーを浴びてしまう...
あ~こわ、
口に出しては言えないけれど、次回の検収時は心の中で
「(コロナの感染恐怖と向き合い)検収いつもお疲れさまですっ!」
そうつぶやくことにしますね!(^-^)
2回目のワクチン接種から話が脱線しました....
ワクチン接種はコロナの感染を予防したり、
万が一感染しても重症化するのを防いだりする効果を
獲得するために接種するわけですが、
接種による副反応がよく話題に取り上げられますね。
主な副反応は接種部位の痛みや疲労、
頭痛、筋肉痛、関節痛、発熱...色々あります。
じつは私も2回目は37℃後半の熱が出て、
一日半ほどぐったりしていました。(>_<)
副反応に関しては、多くの記事でも紹介されていましたし、
少し前に接種した妻の事例も目の当たりで目にしているので、
自分もこんな風になるのかぁ~
そうなんとなく覚悟はしておりました。
幸い、発熱はしたものの39℃を超える高熱を出すこともなく
接種部位の痛みも1回目ほどではなかったので
熱が下がってからの回復は早かったです。
今回当たり前のようにワクチン接種に臨みましたが
この接種、国が強制的に個人に受けさせるものではありません。
厳密には「努力義務」という何とも歯切れの悪い言い回しで、
接種に何ら問題ない人は出来る限りワクチン接種受けて下さいね~
決して強制しているわけじゃありませんよ~
言わば個人が
「ワタシはオレは接種する」
そう決めて臨む任意のものです。
ワクチン接種には副作用という「リスク」があるものの
コロナ感染の予防、もしくは感染しても重症化するのを
防ぐ効果があるのならこの副作用の「リスク」を許容し、
予防効果の方を取ろう、そう思って接種するものです。
私は副作用リスクを受け入れ、
予防効果(効用)を期待して接種を受けました。
そこで私たち陸送ドライバーが日頃晒されている
リスクとその報酬について
ドライバー目線でお話したいと思います。
ワクチンの話でもしましたが、
リスク(副作用)とはただそれだけで存在することはなく、
必ず報酬(接種効果)と結びついて存在しています。
報酬というと金銭的な事を想像しがちですが、
もちろんそれだけではありません。
気持ちが高ぶって高揚したり、
自分以外の第三者を通じて喜びを感じたり、
つまり自分にとって受け入れることが望ましいこと全般が
自己への報酬となります。
そこで問題です、
全ての陸送ドライバーに当てはまる報酬とはいったい何だと思いますか?
高額な見返り(陸送運賃、お給料...)
ん~それも目的としては当然ですね。
それよりも優先されること、もしくは前提となるべきことがあります。
それは
回送中に絶対に事故をしない
ということではないでしょうか。
事故をして回送した仕事に誰もお金は払ってくれません。
むしろ高額な損害賠償金(弁償)を支払わなければなりません。
そんないつ降りかかてくるか分からない事故のリスクに対し
陸送ドライバーは減らすことのできるリスクは事前に軽減させ、
どうしても事前に減らすことの出来ないリスク
(状況に応じて発生するもの)に対してはその場その場で
リスク排除もしくは軽減の行動を取っているものです。
例えば陸送業務は運送会社の定期便と違って、
初めて行く納車先が結構多いのです。
今は便利な時代、グーグルマップ一つで納車先の場所、敷地レイアウト、
周囲の様子、大型車両での搬入経路の選定など、
事前に確認しておくことで納車場所の間違えリスクや
現場での立ち往生などのリスクを軽減させることが出来ます。
この時得られる報酬は、イメージトレーニングで得た「安心感」です。
また、陸送途中の道路上にはいくつものリスクが
魔の手を差し伸べて待ち構えています。
たとえば高速道路の合流部分。
気持ちよく80km/hの定速走行で流していると、
前方の合流箇所目がけてこちらも同じような速度で本線に合流しよう
としてくる車があります。アルアルでしょ。(^-^)
最新テクノロジーで、特にこのような合流箇所では
自動車側で合流アシスト機能(合流車両の車速と位置をセンサーで感知し、自動で速度制御してくれるなど)が付いていれば
結構な割合で合流時の接触事故も減らせると思うのですけど、
どうでしょうか。
もちろん、こっちが優先で相手ばかりに制御を任せてしまえば
ガシャーンと接触事故です。
少しアクセルを緩めて先方に本線を譲るか、(本来はこちらが正解)
場合によってはアクセルを踏み込み、自車が先に行き、
やり過ごすという手もあるでしょう。
その時の相手の動き次第でケースバイケースですが、
事故を起こさない(無事故)という報酬を得るためには、
アクセルを踏み込む→速度が上がりリスクが高まる
(リスクの上昇を自ら選択する)
という運転動作も必要です。
こんな場面もよくありますね。
納車先は数ある中でも検収が細かくうるさいところで知られています。
自分が陸送して持っていく車は運の悪いことに、
前日降った雨の影響でシャーシや下回りが
泥汚れでグッチャグチャ。(>_<)
洗車してから陸送するべきか、
いや、洗車していたら帰りのバスに乗り遅れてしまう。
いやいや、そうじゃなくて先方の納車時間までにたどり着けない!
どぉーしよう!(これもアルアル)
ドロ汚れの付いた車両を持ち込んで指摘されクレームとなるリスク、
帰りのバスに乗り遅れて帰宅が遅くなってしまうリスク(負の感情)、
納車時間に間に合わなくなって出戻りするかもしれないリスク、
もちろんこの時の報酬は、業務遂行という当たり前のお仕事です。
似たような状況に遭遇した陸送ドライバーさんは少なくないでしょう。
そんな不安な気持ちを抱えながらの陸送は決して気持ちの良いもの
ではありません。(少なくとも私にとっては...)
したがって私は気持ち(捉え方)を変えて、
自分が気持ちよく陸送できるように
さっーと洗車をし、不安を払拭してからスタートします。
このように陸送の仕事は毎日がリスクと報酬のせめぎあいみたいなもの。
(あ~やっぱり陸送って演歌調だよな~ぁ♪)
報酬は欲しいがリスクは取りたくない
そんな都合の良い話はこの世に存在せず、
仕事に関わらず、人生そのものがリスクと報酬の選択の連続です。
最後にリスクについて一つ。
みなさん交通事故リスクの計算式ってご存じですか?
リスク=発生確率×結果の重大性×(暴露度)
発生確率とは、
文字通り事故の発生率、つまり朝夕ラッシュ時の首都高は
交通量も多く事故に遭う確率も高まるし、
昼下がりの中央道はめっちゃスムーズな流れで、
それだけで事故確率も下がる。
結果の重大性とは、
リスクから生じた結果がどれだけドライバーに重要度が高いかということ。
前夜のスポーツ観戦からくる寝不足でウトウトとしながら運転していたら、
交差点の赤信号に気づかず横断歩道を歩行していた親子を撥ね飛ばして
しまったなど、過失100%の人身事故で、結果の重大性はMAXです。
暴露度とは
もちろん、リスクが発生する状況に置かれている度合いが高い
つまり、週末しか運転しないサンデードライバーより
私たち陸送ドライバーの方が暴露度が高くなるということ。
(サンデードライバーの方が日常的に運転しているプロドライバーよりも
事故発生率は高いのではないかという異論もあるかと思いますが、
その点はごもっともなことで、ここはリスク定義としての暴露度の説明という意味で、単純にその場に晒されている時間が多い「高暴露」ほど数値が高まるという意味です)
また、結果の重大性については
例えば、車両を誤って擦ってしまった場合、とても重大な事と考えるか
それともそのぐらい大した事などないよと軽度な事として捉えるかなど、
個人の主観によって変化する要素が多分に多いので、
これらは人の認知領域を扱う心理学の知見も取り入れ研究されています。
今回も徒然と書かせて頂きましたが
リスクは無い方がいいけど、
やっぱり報酬も捨てられない一般ピープルの私はどうするのか!!
お金より大切なのは
やっぱ、信用だよね~♡
と、いつもおっかなびっくり、
用心用心で自分なりのリスク・テイキングをしておりま~す。(^^)/
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