陸送...今そこにある危機

query_builder 2021/06/12
ブログ
有限会社嶋屋

こんにちは、嶋屋のYです。
今週はほんとっ、暑かったですね~


暑さとは関係ないのですが、今週気になったニュースが1件ありました。
ネットニュースでも盛んに流れていたので、どこかで目にした方もきっとあると思います。


神奈川県横浜市にある「戸塚カントリー倶楽部」で樹木伐採中、高所作業車で作業していた作業員2名が高圧線接触による感電で死亡したという記事です。


それまで知らなかったのですが、

高所作業車には高圧線による感電を防ぐため、

作業員が乗るゴンドラ部分が樹脂製で、クレーン部が一部樹脂で覆われ絶縁仕様となっている専用のものがあるそうです。


今回の事故は近くに高圧線が通っているにもかかわらず、

専用の高所作業車を使用せず作業をしていた結果、
鉄製のゴンドラ或いはブーム部に高圧線が触れ、

感電死に至ったということのようです。


事故の真相は調査中で、もちろん私ごときに云々する由もありませんが、
気になったのは、その背景にコスト削減を理由にした労働者

(作業員)の労働環境がないがしろにされている事実があったのでは

ないかということでした。


以下は私の想像です...


作業員A:明日の現場、あそこはうちの作業車じゃヤバいっすよ。


社長:何がヤバいんだ?


作業員A:いつもの場所と違って、ブームを伸ばすと

    JRの高架線に接触する可能性があります。
    棺桶に入って仕事するようなもんだから、

    工事用の作業車借りてきた方がいいっすょ。


社長:何言ってるんだ!そんなもの持ってきたら、

   経費で利益なんか出ねえぞ、
   それに電線1本くらい、てめえの操作で交わせなくて

   どうするんだよ、プロだろお前!


そんな会話が為されたかどうか、今となっては分かりませんが、


もし、今まで当たり前のようにやってきたから

今回も大丈夫という考えで、同じように臨み、

結果として最悪の事故になってしまったのであれば...


ひょっとしたらそれって、

この陸送業界でも同じことが言えるのではないかと。


陸送ではこれが当たり前....


全く違う分野からこの仕事を始め、

いつしか陸送はこれが当たり前...


自然とそんな思考回路が身につき目の前の危険(リスク)

・危機に対して、感受性の低下、鈍感になっているのではないか。


じゃ~ん、陸送の常識は世間の非常識、いっぱいありますっ!


燃料タンクはいつもカラカラ...


あるよね~。

そもそも道路上でのガス欠は円滑な道路交通を乱す行為であるし、
高速道路に限って言えば、立派な交通違反になります。
違反云々以前に、道路上を歩行するのは危険極まりない行為です。


【道路交通法第75条の10】
自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。



シャーシ状態での回送...


これって陸送では常識じゃん。確かに確かに。
でも道路上を見渡してみて、シャーシで走っているのって一体どれほど?


ふつう道路上をはしっているトラックは、ダンプカーや配送車、ミキサー車など荷台に何トンもの仮装物を背負って走っています。


逆にシャーシはそれら何トンもの重さが掛かっていない状態で
道路上を走っているわけです。後輪にトラクションはかからず、

サスペンションはガチガチ。


それ以外でも、剝き出しのタイヤや巻き込み防止柵もない

シャーシという名の車両。


例え制限速度を遵守した範囲であっても、路面状況と運転操作次第で

ハイリスクな乗り物と化してしまうこともあるでしょう。


回送ナンバーの可搬性...


回送ナンバーでの陸送、これは業界人だったら本当に当たり前。
しかし、街の自動車はナンバー取り外すことできますか?
自動車のナンバーは封印され容易には外すことができない仕組み

になっています。


けれど、我々が使う回送ナンバーはすぐに取り付け、

取り外しができるようボルト2本で簡単に取り付けられています。


陸送屋の生命線とも言うべき回送ナンバーはその可搬性故に、

常時盗難や紛失のリスクに晒されています。


ナンバー紛失は行政処分の対象となり、貸与停止や返納、

最悪許可の取り消しです。


回送ナンバーが無ければ、陸送屋としては事実上の倒産ですね。


未完成の車両を陸送するというリスク...


乗用車であれ商用車であれ、通常は生産主体のメーカーが幾多の試験を重ね

安全な乗り物ですと太鼓判を押されたもののみが道路を走行できますが、

陸送で扱う未完成車はそんな保証はどこにもありません。


時には改造前の車で、キャブ後方が筒抜け、窓もドアも無しという

車もあります。


この程度ならまだしも、かつては運転席はミカン箱、方向指示器や

灯火類も装備しないバスシャーシを輸出専用の港まで回送していた

こともあったと聞いたことがあります。


さすがにミカン箱のシャーシは陸送したことはありませんが、
消防自動車に改造する前のドア無しトラックで高速道路を陸送した時は、

吹き抜ける風に我が身が吹き飛ばされないよう

最低速度と最安全運転で陸送したことが思い出されます。


件の伐採作業中の事故の話に戻りますが、


どんな仕事にも危険(リスク)はつきものです。
しかし、そんなリスクをリスクと認識しているかどうか、
リスクに遭遇した際に、適切な対応がとれるかどうか、


そもそも、


潜在的リスクのあるもの(こと・ばしょ)に近づかいないようにする...


多くの事柄を改めて考えさせられたニュースでした。
作業員の方には、本当にご冥福をお祈り申し上げます。
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さてさて、今週はこれでブログ終了...
といきたいところですが、本業での出来事も少し報告させて下さい。


今週は陸送した本数こそ少なかったのですが、
ちょっと貴重な体験をしましたのでブログでご紹介したいと思います。


週の半ばからトランテックスさまからのご依頼で、

埼玉県の熊谷と所沢にあるトラック修理工場を
数往復陸送して参りました。


陸送したのは新車の大型トラック「日野プロフィア」3台です。


で、何が貴重な体験かって?


それは、サーモキング社製UT-1200冷凍ユニットを搭載した

ほぼ同仕様の冷凍車を短期間に同一経路で陸送し、


肝はそのトラックの1台が3軸高床車で

残り2台が4軸低床車だったことです。


説明不要でしょうが、

ひょっとしたら?な人もいるかも知れませんので...


3軸、4軸とはトラックを真横から見て、タイヤがいくつあるか、

その際ダブルタイヤかどうかは関係ありません。


真横からみて、タイヤが前輪1本、後輪1本であればそれは2軸と呼び、
ダンプカーなどの大型トラックに多い前輪1本、後輪タイヤが2本あるもの、

これらは後輪2軸、つまり、前と後ろを合わせて3軸となります。


また長距離トラックの中で圧倒的に台数の多い、

前輪2軸と後輪2軸あるものがあります。これが4軸車と呼ばれるものです。


そして、そこに荷台を乗せるシャーシの位置が高いか低いかで、

高床、低床となってきます。


つまり、


3軸高床車:前輪1軸、後輪2軸でシャーシ面が高いトラック
4軸低床車:前輪2軸、後輪2軸のシャーシ面が低いトラック


こんな感じです。


この手の説明は、ちょっと検索すれば詳しい解説が出てきますので

ここでは致しません。


ちなみに、日野自動車では前述の3軸高床車を車型:FR、

4軸低床車を車型:FWと呼称しています。


そこで陸送屋の本懐として、

往路はFW(4軸低床車)、復路はFR(3軸高床車)ときたら
自ずとそれらの走行フィーリングの違いを実感するのに

うってつけとばかり、


おしりから伝わる車体微振動を、超敏感なヒップセンサー!?で

必死に感じ取り、


フムフム...となるではありませんかー!


そこで、最初に結論。


FWは低重心で乗り易い...


あまりにも安直で分かり易く、きっとこれは両方乗り比べれば、

100人中99人はそう感じるであろうというぐらい
はっきりとした違いでありました。


具体的にどこがどう違うのか、

実感としてまず挙げられるのが走行中の安定感です。


確かにFR(3軸高床車)は総輪10本、片やFW(4軸低床車)は総輪12本。
ふつうにタイヤ本数が多いのでその分、路面との設置面積も多いわけで

当然といえば当然です。


そこに高床車荷台位置1400mm前後、低床車950mm前後、

その差なんと約500mm!


キャブ後方の付属物すべてが500mm(50cm)も

下方に位置しているのだから重心も全く違う感覚です。


特に低重心を実感するのが道路上の轍を通過する際に発する、

車体の横揺れの違いです。


タイヤサイズも大きく影響しているのでしょうが、

3軸高床は揺れの振り幅が大きいのに対し、
4軸低床は幾分揺れ幅が小さく小刻みな印象で、

揺れが収まるのも早い感じがしました。


それから、旋回時もやはりタイヤの外径からくる影響でしょうか、
極端にいえば、4軸低床車はタイヤ外径が小さい分、

ハンドルを操舵したら、スパッと曲がっていくのに対し、

3軸高床車はドッ・コイ・ショ~的なゆっくりした反応を示します。


今回の陸送は片道50km程度の短い距離でしたが、

500kmとか1000kmとか長くなればなるほど、
これらの挙動がドライバーに与える影響は蓄積され、

それが疲労の差となってくるのは明らかだと思いました。


話が前後しますが、

同じ日にこれら車型の違うトラックを陸送するにあたり
3軸高床と4軸低床についてネットで調べていたら、

ある運送屋さんのブログに出会い、


そこに我々陸送屋の新車回送についての記述があったので

最後にご紹介したいと思います。


通常、工場出荷時の新車は、エンジンと足回り、

そして運転席のあるキャブが搭載されただけの


「シャーシ」

という形で出荷されます。

これについてはブログでも説明したことがあるかと思います。


それを陸送屋である私たちが、後ろの荷台部分を取り付ける

系列工場へ回送するのですが、
他社とは違い、日野自動車の標準ボディを制作する系列工場は

石川県白山市に位置し、そこまで一日に何台も自走(自ら運転)で

陸送しています。


荷台のまだ付いていないシャーシに仮ナンバーをつけて

陸送する光景を見てそのブロガー曰く、


「私達運送屋から見れば、こんなに恐ろしくて辛い運転はありません。」と。


さらに、
「荷物どころかボデーさえないので重量が後輪に殆どかからず、後輪のグリップがまるで効きません。このルートは、碓氷バイパスや北陸の親不知などの難所が多数あるうえ、冬季は豪雪地帯や-20℃に達する酷寒地の通過を強いられます。悪天候や冬の凍結路を、こんな状態で走らなければならない。それも、新車装着のノーマルタイヤで!」


金沢へシャーシを陸送した経験のある陸送屋さんは、

そう、そうと頷けるはず。


そしてブログ後半にはこんな記述も。


「私はこんな恐ろしい仕事、できません。

これを運転する某社の皆さん、心から尊敬します。」


この仕事を始めて、どうにかこうにか今まで無事やってきましたが、
今まで常に薄々感じていたこと、


それは
陸送業は「とくしゅなお仕事!」
ということ。


考えてみれば、

長距離組だったら今日は九州、明日は大阪、週末は関東なんて

日常茶飯事だし、地場であれば、2キロや3キロ移動で歩くのなんて朝飯前!


そういえば、昨日も陸送の車を引き取りに伺った際、
車庫までの道のり3キロ程を最寄り駅から歩いてきましたと言ったら


「えぇっ~歩いて来たのォ~」と先方さま。


「いやぁ~、これも仕事の内ですから~」と私。


「それにしても、遠いっしょ!」と先方。


そんな感じで大変驚いていました。


でも、前述のブログの話に戻りますが、


心から尊敬するだなんて....(>_<)


そんな最上級のお言葉を頂き、まったくもって有難や、有難や~。


運送屋さんから我々陸送ドライバーがどう見られているのかという

事の一端が分かりとても参考になったブログの記事でありました。


当ブログも、誰かの心に染み入るような内容で

綴っていきたいですね。ハイ!

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